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東京リベルテのコラム

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スマートフォン操作中の事故

【スマートフォン操作中の事故】 

最近,スマートフォン(スマホ)を買ったAさん,これまで使っていた携帯電話と違ってとても便利な機能がたくさんあり,今では生活に必要不可欠なものになりました。パソコンと同じようにインターネットをすることができたり,ゲームを楽しんだりすることもできて,仕事にプライベートに大活躍です。

今日も,Aさんは,仕事で初めての訪問先へ行くことになっていました。訪問先の人から,「駅からの道順がわかりにくいのですが。」と言われましたが,スマホがあれば大丈夫です。初めての場所に行っても,地図アプリを見ながら行けば,迷うことなく容易に目的地へたどり着くことができます。

Aさんは,最寄り駅に着くと,訪問先の道順を確認するため,駅の階段を下りながら,地図アプリを開きました。画面をスクロールしたり拡大したりして,夢中でスマホを操作していたところ・・・「ドスン!」前を歩いていた人にぶつかってしまいました。その人は,階段を転げ落ちてうずくまってしまい,救急車で病院へ運ばれました。

【問題点】

スマホの普及率が飛躍的に伸びています。総務省が発表した通信利用動向調査によると,スマホの世帯普及率は,平成22年には,わずか9.7%でしたが,23年には29.3%,24年には49.5%にもなっています。スマホは,私たちの生活になくてはならないものになりつつあります。

他方で,歩きながらスマホを操作する行為の危険性が指摘されています。

スマホは,動画アプリなども充実していて,従来の携帯電話よりも格段に情報量が多く,画面に見入ってしまうため,周囲への注意力が散漫になってしまうようです。そのため,歩行中の衝突事故や転落事故などが増えてきています。

特に,駅は,たくさんの人が行き交う場所ですから,人と人とがぶつかり合うことによる事故が起きやすい場所です。そのようなところで,スマホの画面に気をとられて,周囲に気を配らずに歩くことは,とても危険な行為といえます。

スマホ操作中の事故ではありませんが,自営業を営んでいた被害者が,駅のホームにおいて,高校生と衝突して,ホーム上で転倒してしまい,被害者は,脳挫傷,頭蓋骨骨折,嗅覚喪失の傷害を負いました。高校生が,前方を注意しないで歩き出したところに被害者が正面衝突したのでした。この事故につき,裁判所は,当該高校生に対して,約300万円の支払を命じる判決を言い渡しました。

裁判では,被害者も前方を注意せずに歩いていたため,被害者の過失が7割と認定され,過失相殺がなされたため,判決で命じられた支払額は約300万円でしたが,被害者に過失がなければ約1000万円の支払が命じられるところでした。歩行者同士の事故であっても賠償額が高額になることは十分にあるのです。

本件におけるAさんの場合,特に注意をしなければならない駅の階段で,周囲に注意を払わずに被害者を転倒させてしまったのですから,Aさんに全面的な過失が認められ,被害者の過失は認められにくいので,Aさんは,高額な賠償金を支払うことになるでしょう。

【対処法】

自動車や自転車を運転中にスマホを使用することは,道路交通法等により禁止されていますが,歩行中のスマホ操作については,特に禁止規定があるわけではありません。しかしながら,Aさんのような深刻な事故を起こしてしまう危険性は,十分に考えられることです。

混雑した場所では,歩きながらスマホを操作しない等,スマホの特性を十分に理解して活用することが大切でしょう。

2014/12/24 Posted by Tokyo Liberte Law Firm.

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